つかず離れずの、家族のかたち
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家族でも、一緒にいて少し疲れる日はある
家族は、いちばん近くて大切な存在です。
でも、どんなに仲が良くても、
常に同じ空間でずっと一緒にいると
なんとなく疲れてしまうことはありませんか。
特に何があったわけでもなく、ケンカをしたわけでもない。
ただ、ずっと同じ部屋で顔を合わせていると、
少しずつ気持ちが窮屈になってくることも。
それは仲が悪いからではなく、むしろ自然なことです。
人には、誰かと一緒にいる時間と同じくらい、
「ひとりになれる余白」が必要なのだと思います。
そしてその余白は、実は「空間」のつくり方で、
生み出すことができるのです。
同じ空間の中に、ゆるやかな距離をつくる
ひとりになれる時間、というと、
それぞれが個室にこもる姿を思い浮かべるかもしれません。
でも、完全に部屋を分けて扉を閉めてしまうと、今度は少し寂しい。
家族なのに、気配を感じられないのは、なんだか味気ないですよね。
大切なのは、その「間」。
同じ空間にいながら、それぞれが心地よくいられる、ゆるやかな距離です。
顔をつき合わせてはいないけれど、なんとなく気配は感じる。
話しかけようと思えば話しかけられるけれど、
無理に関わらなくてもいい。
そんな「つかず離れず」の距離感を、家の中に。
近すぎず、遠すぎず、そのちょうどいい「間」は
間取りや家具の置き方で、意外とつくれるものです。

たとえば、こんな「間」のつくり方
具体的に、いくつか挙げてみます。
まずリビングの一角に、ひとりがけの椅子をひとつ置いてみる。
窓ぎわや部屋の隅など、家族が集まるソファから少し離れた場所。
同じ部屋で家族がテレビを見ていても、その椅子に座れば、
本を開いたり、コーヒーを片手にぼんやりしたり、
自分だけの時間に入れます。
家族の声は聞こえるし、気配も感じる。
でも、輪の中に必ずしもいなくていい。
そんな「ひとりの居場所」が、部屋の中にひとつあるだけで、
気持ちが楽になります。

家具の向きを少し変えてみるのも、いい方法です。
ソファもテレビも椅子も、すべてが同じ方向を向いていると、
いつも全員の視線が一点に集まります。
そこで、椅子を窓のほうへ向けたり、机を壁側に配置したり、
視線がゆるやかにずれるように置くだけで、
同じ部屋にいても、それぞれが自分の世界に入りやすくなります。
向き合いすぎない配置が、ほどよい距離をつくってくれます。
次に、縁側やウッドデッキ、ベランダのような、
「半分外」のような場所。
家の中と外の、中間にあるその場所は
「一緒にいられるけれど、少し離れられる」不思議な居場所です。
家族がリビングにいるのを感じながら、
ひとり外の風にあたる。そんな時間が持てます。
完全に区切られた個室ではなく、ゆるやかに仕切られた空間。
「気配は感じるけれど、干渉はしない」。
そんな場所が家の中にあると、暮らしはずっと楽になります。
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気を遣うよりも、空間で整える
不思議なもので、物理的に少し距離があると、
心の距離もちょうどよく保たれます。
ずっと同じ場所で顔を合わせていると、
小さなことが気になったり、言わなくていい一言が出てしまったりする。
でも、それぞれが心地よい場所で
自分の時間を過ごせていると、心にも余裕が生まれます。
ひとりの時間でリセットできていると、
一緒にいる時間を、またあらためて大切に思えたりするのです。
家族が心地よく過ごすために、と考えるとつい
「もっと気を遣わなきゃ」「もっと会話しなきゃ」と
頑張ろうとしてしまうかもしれません。
でも、家族の心地よさは、
必ずしも頑張って気を遣うことではないのだと思います。
それよりも、それぞれが自然に心地よくいられる「間」を、
空間の中につくること。
ひとりになれる椅子、視線がずれる配置、少し離れられる半屋外の場所。
そうした小さな工夫が、家族の距離をちょうどよく保ってくれます。
一緒にいるけれど、ひとりにもなれる。
そんな家は、家族みんなにとって、肩の力が抜ける場所になります。
同じ空間の中に、少しの「間」を。
それは、忙しい毎日の中で、家族がそれぞれ自分を取り戻せる、
ひといきの余白になるのかもしれません。