「ながら」の、いいところと惜しいところ

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    気づけば、いつも何かしながら過ごしている

    スマホを見ながら、ごはんを食べる。
    動画を流しながら、家事をする。
    音楽を聴きながら、移動する。

    一日を振り返ってみると、「ひとつのことだけ」をしている時間が、
    意外と少ないことに気付きます。
    たいてい何かをしながら、別の何かをしている。

    いわゆる「ながら」です。

    ながら作業は、一見すると
    なんだか良くないことのように見えるかもしれませんが
    決して悪いことばかりではありません。

    今回は、ながらのいいところと惜しいところについて考えてみます。

    ながら作業のメリット

    そもそも私たちが、ながら作業をするのには、
    ちゃんと理由があります。

    やらなければいけないことが、たくさんある。
    限られた時間の中で、少しでも集中して効率よくこなしたい。

    だから単調な家事も、好きな音楽や動画があれば、少し楽しい時間に変わり
    「ながら」で乗り切れます。

    手を動かしながらも楽しむ、というのは、暮らしの中の小さな工夫です。

    また、ながらには集中力を助けてくれる面もあります。
    たとえば仕事するとき、静かすぎるとかえって落ち着かないけど
    好きな音楽やちょっとした環境音を流すと、
    不思議と作業に集中できることがあります。

    まわりの雑音が気にならなくなり、目の前の作業に入り込みやすくなる。
    ながらが、集中のスイッチになってくれることもあります。

    ながらは、忙しい毎日を上手に回すための、合理的な知恵でもあるのですね。
    だから、ながら作業そのものを悪者にする必要はありません。

     

    ながらには、少し惜しいところもある

    ただ、一日中ずっと「ながら」で過ごしていると、
    少し惜しいな、と思うこともあります。

    スマホを見ながら食べたごはんは、何を食べたかあまり覚えていない。
    動画を流しながらの作業は、どちらも中途半端になって、かえって時間がかかったりする

    ながらでこなした時間は、便利なようで、どこか記憶に残りにくいです。

    そして、いちばん惜しいのは、
    「感覚」が薄れてしまうことかもしれません。

    目の前のごはんの味、風の心地よさ、誰かとの会話。

    ながらで過ごしていると、そうした一つひとつを、
    じっくり感じることが少なくなる。
    体験が、うっすらとしたものになってしまう。

    ずっと何かをしながら過ごしていると、
    いつのまにか、目の前のことを深く味わう感覚が、鈍っていくのかもしれません。

    それに、ながらを続けていると、頭が休まらない、ということもあります。

    何かをしながら、常に別の情報も受け取っている。
    一見リラックスしているようでいて、脳はずっと働き続けている。

    気づかないうちに、少しずつ疲れがたまっていくこともあります。

     

    一日に少しだけ、「ひとつのことだけ」の時間を

    だからといって、ながら作業を全部やめましょう、という話ではありません。
    それは現実的ではないし、ながらの良さもあるからです。

    そうではなく、一日のうち、ほんの少しだけ
    「ひとつのことだけ」をする時間を持ってみる。
    それくらいが、ちょうどいいのだと思います。

    たとえば、朝のコーヒーを一杯。
    スマホは置いて、その香りと温かさだけを味わう。たった数分のことです。

    たとえば、お風呂に入るとき。
    スマホを持ち込まず、ただ湯船につかって、じんわり温まる感覚だけを感じてみる。

    たとえば、寝る前の30分。
    テレビもスマホも消して、ただ本を読んでみたり、瞑想してみたり。

    どれも、特別なことではありません。ただ「ひとつのことだけ」に向き合う。
    それだけで、いつもは通り過ぎていた感覚が、ふっと戻ってきます。
     

    「ながら」を適度に行おう

    ながらで効率よく過ごす時間も、
    ひとつのことにじっくり向き合う時間も、
    どちらも暮らしには必要なのだと思います。

    一日中、ながらだと暮らしの手触りが薄れていく。
    でも、すべてにじっくり向き合おうとすれば、今度は時間が足りなくなる。

    大切なのは、そのバランスです。
    忙しく手を動かす時間の合間に、ほんの少しだけ、
    ひとつのことに向き合う時間を挟んでみる。

    その小さな切り替えが、暮らしの解像度を、そっと上げてくれる気がします。

    いつも何かをしながらの毎日に、ときどき「ひとつのことだけ」の時間を。

    そんなささやかな習慣が、
    忙しい暮らしの中の、ひといきになるのかもしれません。

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